病棟では、患者数に応じて看護師の配置基準が決められています。看護師の配置が手厚いほど、より高額な入院基本料を算定できるためです。
しかし、手術室においては、そのような診療報酬の獲得につながる配置基準が存在しません。また、適正数や配置基準の指標がないため、看護師が不足しているのかどうかも、現場の主観に頼らざるを得ないのが現状です。
そのため、手術件数は増える一方、人員を増やすことができず、現場の看護師に大きな負担がのしかかっている病院は少くありません。
実際、手術室看護師からは、「常に人員不足を感じながら働いている」「忙しくて休憩がとりにくい」「休みの人がいるとギリギリで業務を行うので、疲労感が強い」「複数の手術が続き、集中力を持続するのが難しい」「人手が足らないため、手術以外の雑用も行わなければならない」といった声も多く聞かれます。
そんな状況を打破すべく、すでに対策を講じている病院もあります。
ある病院は、看護補助者を増やし、業務分担を行うことで負担軽減に努めています。また、手術後の清掃を外部委託したり、手術室看護師を対象とした手術室奨励金を支給したりといった動きも見られます。
一方、過酷な労働状況でも、自分なりにできることを考え行動することで、大きな達成感を感じている手術看護師も少くありません。それだけ手術看護師の仕事はやりがいが大きいため、現状の改善が進めば、なり手は確実に増えていくでしょう。